【第65回 気象予報士試験 実技2】問3を徹底解説|関東の降水・水戸の前線通過・降雪・前線面解析
こんにちは!今回は第65回 気象予報士試験 実技2 問3を解説します!
今回の問3では、関東地方と水戸の気象変化について、
- 降水域と低気圧の対応
- 993hPa等圧線とシアーラインの作図
- 前線通過時刻の判定
- 降水・降雪・視程悪化の読み取り
- 前線面高度と温度移流
- 注意報の判断
など、実技試験らしい総合的な解析が問われています。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問3(1)① 降水域に対応する低気圧
問題文
関東地方にみられる帯状の降水域が、図1のどちらの低気圧に伴うものかを判断する問題です。
模範解答
渡島半島付近の低気圧
◇ 解説
この問題は、レーダー図だけで考えると迷いやすいです。
ポイントは、850hPa等温線との対応で判断することです。
問1(3)で確認したように、
- 渡島半島付近の低気圧:-9(-12)℃付近
- 日本の南の低気圧:9(6)℃付近
の気団に対応していました。
24日15時の関東付近、水戸の北にある降水域がどの気温帯にあるかを見ると、 南の暖かい低気圧ではなく、寒気側の渡島半島付近の低気圧に対応します。
ここがポイント!
低気圧の対応は、単純な位置だけでなく、 気温場・等温線との対応 で判断すると安定します。
■ 問3(1)② 993hPa等圧線とシアーラインの作図
問題文
地上実況図から、993hPa等圧線とシアーラインを図中に描く問題です。
模範解答
◇ 解説
この図で確認するポイント
- 996hPa等圧線との位置関係
- 各観測点の気圧値
- 北東風・北風成分の南端
- 南風成分に変わる直前の風向急変帯
まず993hPa等圧線は、すでに描かれている996hPa等圧線と各観測点の気圧値を使って引きます。
993hPaは996hPaより低い側に位置するので、観測点間の気圧差を見ながら、 どこで993hPaになるかを比例配分で考えます。
次にシアーラインです。
シアーラインは前線のような気温差の線ではなく、 風向が急に変わる線 です。
今回は、北東風・北風成分の領域の南端、つまり南風成分に変わる直前をつなぐとシアーラインになります。
作図問題でつまずきやすいポイント
- 等圧線を観測点の気圧値と無関係に引いてしまう
- シアーラインを降水域の中心に引いてしまう
- 風向の急変帯ではなく、気温差だけで判断してしまう
作図では、線そのものよりも何を根拠に線を置いたかが重要です。
■ 問3(1)③ 降水域とシアーラインの位置関係
問題文
15時と18時における、降水域とシアーラインの位置関係を記述する問題です。
模範解答
18時:シアーラインは降水域の南側に離れて位置する。
15時:シアーラインは降水域の南東端付近に位置する。
記述式解答のポイント:時間変化型・分布型
どこで・いつ:関東地方の降水域とシアーラインの位置関係で、15時と18時
なぜ:時刻によってシアーラインの位置が降水域に対して変化しているため
何が起きている:18時は降水域の南側に離れ、15時は南東端付近に位置している
◇ 解説
この問題は、15時と18時の図を別々に見るのではなく、 同じ基準で比較する ことが大切です。
18時では、シアーラインは降水域の南側にあり、しかも少し離れています。
一方15時では、北風成分の先端が降水域の南東端付近に近づいています。
記述で差がつくポイント
「近い」「離れている」だけではなく、 どの側か、どの縁か まで書くと得点しやすくなります。
■ 問3(2)① 水戸の前線通過時刻
問題文
水戸で前線が通過した時刻と、その根拠となる気象要素の変化を答える問題です。
模範解答
16時30分。風が北東から北に変わって強くなり、気温が急低下し、露点温度が大きく低下し、気圧上昇率が大きくなったため。
記述式解答のポイント:時間変化型・メカニズム型
どこで・いつ:水戸で、16時30分ごろ
なぜ:寒冷前線の通過で寒気が流入したため
何が起きている:風向急変・風速増加・気温低下・露点低下・気圧上昇率増大がみられる
◇ 解説
前線通過時刻は、1つの要素だけで決めるのではなく、 複数の時系列要素が同時に変わる時刻 を探します。
今回の時系列では、16時30分ごろに、
- 風向が北東から北へ変化
- 風速が増加
- 気温が急低下
- 露点温度も大きく低下
- 気圧の上昇率が大きくなる
という変化がそろっています。
したがって、前線通過時刻は16時30分と判断できます。
■ 問3(2)② 降水期間・降雪期間
問題文
水戸で降水と降雪が継続した時間帯を読み取る問題です。
模範解答
降水:16時34分〜20時39分
降雪:17時03分〜20時39分
◇ 解説
降水の開始は、最初に雨やみぞれなどの降水現象が現れた時刻です。
今回は16時34分です。
降水終了は、降水が完全に終わった時刻なので、雨から雪へ変わっても降水は続いているとみなします。
したがって、降水期間は16時34分〜20時39分です。
一方、降雪期間は雪として観測された期間なので、 17時03分〜20時39分 です。
つまずきポイント
雨から雪へ変わった時刻を「降水終了」と誤解しないようにしましょう。
降水期間は、降水の種類ではなく、 降水という現象が続いているか で判断します。
■ 問3(2)③ 視程1km未満の期間
問題文
視程が1km未満となった時間帯を読み取る問題です。
模範解答
17時40分〜18時48分
◇ 解説
これは、視程の時系列から1km未満となった時間帯を抜き出す問題です。
開始は1kmを下回った17時40分、終了は1km以上へ回復した18時48分です。
注意点
「未満」と「以下」は意味が違います。
境界値を含むかどうかに注意しましょう。
■ 問3(2)④ 視程低下の要因
問題文
視程が1km未満となった時間帯に共通する気象条件を、2つの要素で記述する問題です。
模範解答
気温が0.5℃以下で、10分間降水量が0.5mm以上である。
記述式解答のポイント:メカニズム型・リスク型
どこで・いつ:水戸で、視程1km未満の時間帯に
なぜ:低温下でやや強い降水・降雪が続いたため
何が起きている:気温0.5℃以下、10分間降水量0.5mm以上の条件で視程が悪化した
◇ 解説
視程が悪い時間帯だけを見るのではなく、その時間帯とそれ以外を比較します。
17時40分〜18時48分では、
- 気温が0.5℃以下
- 10分間降水量が0.5mm以上
という2つの条件がそろっています。
低温下で雪を伴う降水が強まると、空気中の粒子が多くなり、視程は悪化します。
■ 問3(2)⑤ 湿数の変化
問題文
降水開始から終了までの湿数の時間変化を記述する問題です。
模範解答
降水開始とともに17時30分まで小さくなり、その後はほぼ一定で20時10分以降急速に大きくなり、降水は終了した。
記述式解答のポイント:時間変化型
どこで・いつ:水戸で、降水開始から終了までに
なぜ:降水中は湿潤化し、終了時には乾燥化したため
何が起きている:湿数は減少 → ほぼ一定 → 急増という時間変化を示した
◇ 解説
湿数は気温−露点温度です。
つまり、湿数が小さいほど空気は湿っています。
降水開始直後から17時30分ごろまでは、気温と露点温度の差が縮まり、湿数は小さくなります。
その後、降水が続いている間は湿った状態が維持されるため、湿数はほぼ一定です。
20時10分以降は、降水終了に向かって空気が乾き始め、湿数が急速に大きくなります。
■ 問3(3)① 温度移流
問題文
前線面より上層における温度移流の種類と、その根拠を記述する問題です。
模範解答
暖気移流。前線面付近の1.2kmで北東風、1.5kmで東南東風、5kmでは強い南西風で、風が上方に向かって時計回りに変化しているため。
記述式解答のポイント:メカニズム型・構造型
どこで:水戸上空の前線面より上層で
なぜ:風向が高度とともに時計回りに変化しているため
何が起きている:暖気移流が生じている
◇ 解説
温度移流は、鉛直方向の風向変化から判断します。
北半球では、
- 高度とともに時計回り:暖気移流
- 高度とともに反時計回り:寒気移流
と判断します。
今回は、1.2km付近で北東風、1.5km付近で東南東風、5kmで強い南西風となっており、上方に向かって時計回りに変化しています。
したがって、暖気移流です。
■ 問3(3)② 前線面高度の時間変化
問題文
前線面の高度が時間とともにどう変化したかを記述する問題です。
模範解答
16時40分には0.9kmであるが、その後は次第に上昇し、21時(20時40分)には2kmに達している。
記述式解答のポイント:時間変化型・構造型
どこで・いつ:水戸上空で、16時40分から21時ごろにかけて
なぜ:暖気が前線面上を乗り上げる場が持続したため
何が起きている:前線面高度が0.9kmから2kmへ上昇している
◇ 解説
前線面高度は、風向が急に変わる高度を時刻ごとに追うと判断できます。
16時40分ごろには約0.9km付近に風向の不連続があり、ここを前線面とみなせます。
その後、この不連続高度は徐々に上昇し、20時40分〜21時ごろには2km付近に達します。
つまずきポイント
前線面は、単に気温線だけで決めるのではなく、 風向の不連続高度 として読むと整理しやすいです。
■ 問3(4)① シアーラインの位置
問題文
975hPa付近で、シアーラインに対応する位置を時刻別に読む問題です。
模範解答
15時:140.25°
18時:141.5(141.25)°
◇ 解説
シアーラインは、地表付近の風向急変線です。
975hPa面では、北風成分の南端、つまり南風成分へ変わる直前の位置を読むと見つけやすいです。
■ 問3(4)② 上昇流の発生要因
問題文
A・B・Cの3つの上昇流域について、それぞれの発生要因を対応づける問題です。
模範解答
A:(イ)地形
B:(ア)前線面
C:(ウ)シアーライン
◇ 解説
Aは北風が山地に当たる位置なので、地形性上昇です。
Cはシアーラインの位置とほぼ重なっており、下層風の収束による上昇と考えられます。
残るBが、前線面に沿った上昇です。
■ 問3(4)③ 上昇流域と湿潤域の対応
問題文
BとCのどちらが湿潤域との対応がよいか、またその領域の風の鉛直分布の特徴を記述する問題です。
模範解答
Bのほうが湿潤域との対応が良く、南西風が上空に向かって強まる領域に対応している。
記述式解答のポイント:構造型・メカニズム型
どこで:B付近で
なぜ:前線面上昇と湿潤域が重なり、南西風が上空ほど強まっているため
何が起きている:Bのほうが湿潤域との対応がよい
◇ 解説
「対応がよい」とは、上昇流域と湿数の小さい湿潤域がどれだけ重なっているかを見ることです。
BとCを比べると、Bのほうが上昇流と湿潤域の重なりが明瞭です。
さらに、風の鉛直分布を見ると、B付近では南西風が上空に向かって強まっています。
■ 問3(4)④ 前線面解析
問題文
鉛直断面図上で前線面を作図する問題です。
模範解答
◇ 解説
この図で確認するポイント
- 暖気が北へ張り出した気温場の尾根
- 等温線が北に凸となる部分
- 風向が変わる境界帯
- 湿潤域だけに頼りすぎないこと
前線面作図では、どこからどこへ線を引くかだけでなく、 何を根拠に前線面とみなしたか が重要です。
今回の断面では、暖気が北へ張り出した気温場の尾根と、風向の変わる境界帯が前線面の手がかりになります。
したがって、その2つを参考にしながら、折れ線ではなく滑らかな線で前線面を描きます。
■ 問3(5) 水戸市に発表が想定される注意報
問題文
水戸市に発表が想定される注意報を、気象状況から選ぶ問題です。
模範解答
基本解:大雪注意報、強風注意報、風雪注意報
※着氷注意報・着雪注意報・雷注意報も正答範囲に含まれうる。
◇ 解説
注意報選定では、気象要素をばらばらに見るのではなく、 気温・降水形態・風・視程・対流性 をまとめて考えます。
今回の水戸では、前線通過後に風が強まり、気温は0.5℃以下に低下し、降水は雪へ移行してしばらく継続しています。
そのため、まず大雪注意報、強風注意報、そして雪を伴う強風という組み合わせから風雪注意報が基本解になります。
受験生がつまずきやすいポイント
注意報は丸暗記ではなく、 どの気象要素がその注意報の根拠になるか を逆算して選びましょう。
■ 問3 全体まとめ
- 降水域は位置だけでなく850hPa気温場との対応で判断する
- シアーラインは風向急変帯として作図する
- 前線通過時刻は複数要素の同時変化で判断する
- 降水期間と降雪期間を混同しない
- 視程悪化は低温+降水強度で考える
- 前線面解析では気温場・風向場の両方を見る
- 注意報は気温・風・降雪・視程などを総合して判断する
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第65回 気象予報士試験 実技2 問3の解説でした!
独学資格塾では、単なる模範解答だけでなく、「受験生がどこでつまずくのか?」を重視して解説しています。
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